福利厚生には健康保険のように法律で決められた制度もあれば、社員食堂など企業が独自で取り入れる内容もあります。
福利厚生が充実していないと、従業員の離職や仕事に対するモチベーション低下につながります。企業の長期的な成長に悪影響を与える可能性もあるため、福利厚生を充実させることは重要です。
この記事では、計18種類の福利厚生を一覧で紹介し、その内容や特徴をまとめました。
「福利厚生にどのような種類があるか知りたい」「福利厚生を充実させたい」と考えている場合は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次 []
福利厚生とは、給与や賞与以外で社員に提供する報酬・サービスのことです。
福利厚生が充実しているかどうかは、社員が仕事をしながら生活するうえでの満足度に大きく影響します。
例えば、住宅手当があることで社員の家賃負担が軽減され、休暇制度が整っていれば、ワークライフバランスを保つことができます。
福利厚生の充実により、社員が心地よく働ける環境が整うからです。
また、「福利厚生が充実している企業=社員思いの企業」という印象を与えることで、自社で働きたいと考える人が増えるきっかけにもなります。
福利厚生の基本について詳しく知りたい場合は、以下の記事で解説していますので、ご覧ください。
福利厚生は、「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の大きく2種類に分類できます。
法定福利厚生 | 法定外福利厚生 |
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法定福利厚生とは、法律で企業に義務付けられている福利厚生です。病気やケガによる金銭的負担を軽減する医療保険や、失業時の生活をサポートする給付金制度などがあります。
法定外福利厚生は、企業が独自に導入できる福利厚生です。どの福利厚生を採用するかは企業ごとに任せられており、企業の独自性や他社との差別化を図りやすくなっています。
法定福利厚生と法定外福利厚生の種類について、さらに詳しく見ていきましょう。
法定福利厚生の6種類
法定福利厚生には上記の6種類があります。それぞれどのような内容なのか見ていきましょう。
健康保険は、社員の病気やケガによる金銭的負担をサポートする医療保険です。
病院で健康保険証を見せると治療代や診察代が3割負担になるのは、健康保険に入っているためです。
協会けんぽや各健康保険組合が運営し、所定の条件を満たした社員とその社員の扶養家族が健康保険の加入対象となります。
また、医療費の負担を軽減するだけでなく、健康診断や病気・ケガによる休職をサポートする給付金制度(傷病手当金)などもあります。
厚生年金保険は、国民年金保険に上乗せして支払う年金保険です。
厚生年金保険に加入し納付期間などの条件を満たすと、老齢年金・遺族年金・障がい年金が基礎年金に上乗せして受け取れます。
なお、厚生年金保険料は会社と社員が折半で支払います。厚生年金保険の適用事業所で働く70歳未満の人は、原則として全員加入が必要です。
参考:日本年金機構
介護保険は、介護が必要な人を相互扶助で支えていく保険制度です。
介護保険の被保険者は、介護サービスの支援やバリアフリー改修費用の補助などが受けられます。
介護保険サービスの対象は、日常生活を送る上で必要な支援や自立を助けるための最低限のサービスであり、それ以上のサービスは保険適用外です。
また、40歳以上の人が介護保険の加入対象(被保険者)となり、健康保険料と一緒に介護保険料が徴収されます。
40~64歳までの人(第2号被保険者)は、末期がんや関節リウマチなど、特定疾病に該当する場合のみ介護保険のサービスを受けられます。
雇用保険は、労働者の生活や雇用の安定を図るための保険制度です。
雇用保険には失業手当や育児休業給付金などがあり、雇用や収入が不安定になりやすいタイミングでの金銭的サポートを受けられます。
なお、雇用保険は正社員に限らず、所定の労働時間や雇用期間など条件を満たしたパート・アルバイトも加入対象です。
労災保険は、業務中に病気やケガをした場合に保障を受けられる保険です。雇用保険と労災保険はあわせて「労働保険」と呼ばれます。
健康保険でも病気・ケガに対するサポートはありますが、労災保険は勤務時間中や通勤途中の病気・ケガに限定される点が異なります。
労災保険料は企業の全額負担となり、社員の負担はありません。
子ども・子育て拠出金(旧:児童手当拠出金)は、子育てや育児を支援する目的の制度で、集まったお金は児童手当の支給や地域の子育て支援事業などに使われます。
子ども・子育て拠出金は、厚生年金保険の加入事業所の全額負担です。そのため子どもがいる社員は、企業から間接的に子育て費用の支援を受けているといえます。
法定外福利厚生の12種類
企業が独自に導入できる法定外福利厚生は、大きく分けると12種類あります。
それぞれどのような内容なのか、具体的な手当や制度の例も交えて見ていきましょう。
例
社員の貯蓄を助ける仕組みや、マネーリテラシーを向上させるための制度などが財産形成の福利厚生です。
給与を上げるといった直接的な還元を社員にしたくても、企業の業績なども関係するため、そう簡単ではありません。
そのため、以下のような形で社員の財産形成をサポートできます。
これらの取り組みが社員の経済的な安心感を高め、長期的なキャリア形成を支援します。
例
健康経営(社員の健康管理も企業課題としてとらえる考え方)の観点から、食事補助は企業が重視する福利厚生の一つです。
社員の健康状態は、仕事のパフォーマンスに大きく影響します。そのため、社員食堂で栄養豊富な食事を提供するなど社員の健康に配慮することも、福利厚生の一環です。
食事券や食事カードの配布も、喜ばれる福利厚生の一つです。社員が好きなメニューやおいしいランチを食べることで、モチベーション向上にもつながります。
例
健康や医療も、健康経営の観点から企業が重視する福利厚生の一つです。
身体的にも精神的にも福利厚生のサポートがあることで、社員は安心して働くことができます。
定期検診の実施や人間ドックの受診補助などだけではなく、ジムの利用補助なども社員から喜ばれる福利厚生です。
例
法律で定められた有給休暇以外に、会社が正式に認める休暇制度も福利厚生の一つです。
休暇制度が整っていると社員は気兼ねなく休める機会が増えるため、ワークライフバランスの向上につながります。
例
業務内容には直接関係しない社内の行事やイベントは、余暇・レクリエーションの福利厚生です。
余暇・レクリエーションの福利厚生があると、社内のコミュニケーションの活性化や、社員の気晴らしになる効果を期待できます。
例
社員の自己啓発のための費用を、企業が補助する福利厚生もあります。
自己啓発のジャンルは幅広いため、業務内容に関係する「資格取得」や「セミナー参加」を補助対象にするのもおすすめです。
自己啓発により社員が心身ともに成長し、身につけた知識やスキルを仕事に活かしてもらうことを望めます。
例
慶事や弔事の際に、企業の心遣いを示すのも大切な福利厚生です。
結婚式などの冠婚葬祭の行事に限らず、企業としてお祝いしたいことや支援したいことを、福利厚生の対象に含めることで、企業の独自性や他企業との差別化を図れます。
例
社員の住まいに関する資金サポートをおこなうのが、住宅補助の福利厚生です。
毎月30,000円など一定額の家賃手当を出したり、格安の家賃で社宅を貸し出したりします。
また、雪が降る寒い地域では暖房代が高額になるため、寒冷地手当として一時金を支給する企業もあります。
例
勤務時間や働き方に関する福利厚生があると、多様な働き方の推進が可能です。
「家庭の事情で短時間勤務をしたい」「通勤ラッシュを避けるために時差出勤をしたい」のような社員のニーズを満たせます。
例
社員が育児や介護をしやすいよう、働く環境を整えるのも福利厚生として重要です。
労働政策研究・研修機構の調査によると、共働き世帯は年々増加しており、家庭と仕事の両立は欠かせないものになっています。
出典:労働政策研究・研修機構
また、高齢化社会の影響もあり、介護関連の福利厚生は今後ニーズの高まりが予想できます。
例
社員の自宅から企業までの移動にかかった費用を、福利厚生として一部または全額負担が可能です。
公共交通機関を利用する社員に限らず、自転車やマイカー通勤の場合でも距離に応じて手当をもらえることが多いです。
例
退職後の生活に対する不安を軽減することも、重要です。
例えば、将来のライフプランに関する知識や経済的な準備を支援することで、老後の生活設計が容易になります。
また、再雇用や継続雇用制度の導入により、高齢者がその経験や知識を活かし働き続けることで、企業の生産性向上にもつながります。
ここまで、18種類の福利厚生を紹介してきました。
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福利厚生を充実させる5つのメリット
福利厚生の充実は、これらのメリットを通じて企業の競争力を高め、長期的な成長と安定を支える重要な要素となります。
詳しく見ていきましょう。
福利厚生が充実している企業は「守られている安心感がある」「この会社にいれば、メリットがたくさんある」と感じてもらいやすくなります。
特に家族を持つ社員にとっては、家族の健康や教育、将来に関するサポートが魅力的に映りやすく「会社を決める際の大きな決め手となる」といっても過言ではありません。
福利厚生で他社との差別化を図ることで、競争の激しい採用市場で企業の魅力が高まり、優秀な人材を引き寄せた結果、採用力の向上が期待できます。
福利厚生が充実することで、社員の離職率が低下し、長期的な人材確保が可能です。
生活や健康に配慮された福利厚生を提供されることで、社員の企業に対する満足度が向上し「長く働き続けたい」という意欲が高まった結果、優秀な人材の流出防止につながります。
健康管理やメンタルヘルスケアに関する福利厚生をそろえ、相談できる場を整えることで、社員はストレスを受けたときなど都度相談ができます。
一人で抱え込まずに早い段階で相談することで、心身の健康に必要なケアを受けることが可能です。
心身ともに健康なことで、仕事のパフォーマンスがあがり、生産性の向上が期待できます。
福利厚生を充実させ「働きやすい職場」として社会的に認知されることで、顧客や取引先、求職者からの評価が向上し、企業のブランド価値やイメージ向上にもつながります。
社会的評価の向上に、顕彰制度を利用するのも一つの方法です。
例えば、経済産業省が実施している「健康経営優良法人認定制度」に認定されれば、「信頼できる企業だ」との評価を得ることが期待できます。
福利厚生にかかる費用の一部を経費として計上でき、法人税の負担を軽減できることも大きなメリットです。
福利厚生に充てた費用は、経費として認められる場合があるため、企業の財務負担の軽減につながります。
福利厚生を充実させる3つのデメリット
上記の3つのデメリットは、企業が福利厚生を導入する際に慎重に検討する必要がある重要なポイントです。
詳しく見ていきましょう。
福利厚生を充実させることで、企業の経費が増加します。
福利厚生を導入する際には、社員向けの各種プログラムやサービスを提供するための初期費用や運営費用が必要です。
特に中小企業では、これが財務的な負担となり、他の重要な投資に制約が生じる可能性もあります。
例えば、中小企業が社員の健康診断費用を全額負担する制度を導入した際、予想以上にコストがかかり、他の福利厚生の予算を削減せざるを得なくなる場合があります。
結果として、企業のキャッシュフローに影響が出て、当初予定していた設備投資を延期するなどの事態も考えられるため、段階的に導入することがおすすめです。
福利厚生を充実させても、社員全員が満足するものを提供するのは難しく、一部の社員が不満を抱く可能性があります。
福利厚生にはさまざまな種類があり、社員のライフステージや個々のニーズにすべて対応するのは現実的に困難です。
その結果、特定の福利厚生が一部の社員にとって「魅力的でない」と感じられることがあります。
例えば、企業が育児支援を強化する福利厚生を導入した場合、子育て中の社員には好評な一方で、独身者や子どもがいない社員からは「自分には恩恵がない」と不公平感が生じる恐れがあります。
福利厚生の運用や管理には、多くの手間と時間がかかり担当者の業務負担の増加もデメリットです。
福利厚生プログラムを適切に運用するためには、さまざまな管理業務が必要となります。
例えば、複数の福利厚生プログラムを同時に導入した場合、各プログラムの管理や社員からの問い合わせ対応に多くの時間がかかり、人事部門の負担が増えます。
負担が増えた結果、他の人事業務に支障が出たり、福利厚生の運用自体が効率的におこなえなくなったりする場合があるので、リソースは確保した上で導入を検討しましょう。
ここまでは福利厚生を充実させるデメリットについてお伝えしましたが、このデメリットを解消できるのが「デジタルギフト」です。
ここからは、喜ばれる福利厚生として人気のデジタルギフトについて紹介します。
福利厚生にデジタルギフトを活用することで、前述したデメリットの解消が可能です。
デジタルギフトを福利厚生に使用する3つのメリット
受け取った人は好きなものを購入できるため、社員のライフステージや個々のニーズに柔軟に対応できます。
福利厚生にデジタルギフトを導入している事例
デジタルギフトは、さまざまな福利厚生に適しており、管理や配布が簡単で、企業にとっても効率的に運用できる点が魅力です。
特にリモートワークや多様な働き方が広がるなかで、場所や時間に縛られずに利用できるデジタルギフトは、今後ますます重要な役割を果たすことが考えられます。
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社員が期待する福利厚生とその割合
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会社によって、喜ばれる福利厚生も変わってきます。スキルアップや休暇に関する福利厚生の事例を知りたい場合は、こちらもぜひご覧ください。
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福利厚生は法定福利厚生・法定外福利厚生の大きく2つに分類できます。
さらに細かく分けると、法律で定められた法定福利厚生は6種類、企業が独自に取り組める法定外福利厚生は12種類あるとお伝えしました。
法定外福利厚生をどのような内容にするかで、企業の魅力度は大きく変わります。
健康管理や住宅関連の福利厚生は社員に人気のため、取り入れてみてはいかがでしょうか。福利厚生を充実させて、社員の満足度を向上させましょう。
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