社員紹介制度(リファラル採用)は、安定して人材を確保できる方法のひとつです。
しかし、意図しないトラブルやコストが発生するリスクもあるため、制度を導入する前にメリットとデメリットを把握しておくことは重要です。
利点を最大化し、潜在的な問題点を事前に理解しておくことで、スムーズな導入と運用ができます。
本記事では、社員紹介制度のメリット・デメリットや、成功させるポイント、奨励金が違法とみなされないための3つの注意点をお伝えします。
紹介制度の導入時には、就業規則の見直しや奨励金の設定が必要となりますので、本記事でお伝えする内容を参考にしてみてください。
通常の採用活動に比べて、コストや人材のマッチに優れている社員紹介制度ですが、メリットを最大限に活用するためには、ポイントを押さえることが重要です。
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目次 []
社員紹介制度(リファラル採用)を導入する3つのメリット
社員紹介制度を導入すると、安定した人材確保と採用コストの削減が期待できます。
なぜ社員紹介制度で上記のメリットが生まれるのか、それぞれ具体的にみていきましょう。
社員紹介制度の導入により、求人費用を大幅に削減できます。
人材紹介サービスを利用する場合、紹介手数料が発生します。
この手数料はサービスによって異なりますが、相場は「採用者の想定年収×35%前後」です。
社員紹介制度を活用すれば、外部サービス手数料や、求人広告掲載、転職フェア出展といった人事採用に関わるコストの削減ができます。
社員紹介制度では、社員がカルチャーに合う人材を推薦しやすいため、候補者選考が効率化され、採用決定までの時間短縮も期待できます。
これにより、金銭的コストのみならず、採用活動にかかる時間や労力の削減が可能です。
紹介制度を活用すると、企業の求める人物像に合った人材を採用しやすくなります。
社員紹介制度では、会社の業務や社風を理解している社員が候補者を推薦するため、企業に適さない人材が紹介されるリスクを抑えられます。
また、社員は「この人なら自社に合っている」と判断した上で紹介をおこなうため、マッチ度の高い人材を確保しやすい仕組みです。
さらに、本来転職市場にいない人材(転職サイトを見ていない人など)とも接点を持つ機会が増え、優秀な人材と出会うチャンスが広がります。
企業文化や価値観に合う人材を採用しやすくなり、組織の一体感が強まることで、職場環境の安定につなげることが可能です。
紹介で入社した社員は、会社へ定着しやすくなります。
定着しやすい主な理由としては、入社前後で企業イメージのギャップが少ないことが挙げられます。
通常採用の場合、入社後に「思っていた会社と違った」と転職者が後悔するケースは少なくありません。
紹介制度であれば会社のことをよく知る紹介者からの説明があるため、入社前後のギャップを縮めやすいです。
その結果、企業イメージとのズレによる早期離職のリスクを防げます。
このように、紹介制度は人材確保やコスト削減のメリットがあります。
その一方で、紹介制度にはデメリットもあるため、続いてデメリットをみていきましょう。
社員紹介制度を導入する3つのデメリット
社員紹介制度には、人材紹介サービスとは異なるデメリットもあります。
それぞれのデメリットについて、対策とともにお伝えします。
紹介者と応募者はもともと知り合いのため、社内の人員配置には配慮が必要です。
親しいからこそ私語が増えたり、社内の雰囲気が緩くなったりする可能性があるためです。
社内に良くない影響が出そうな場合は、紹介者と応募者を異なる部署に配置することを検討しましょう。
紹介された人物をもし不採用にする場合、会社は慎重な対応が大切です。
会社の対応によっては、紹介者と応募者の人間関係に亀裂を入れてしまう恐れがあります。
さらに、社員は自分の知人や友人を会社へ紹介するため、ぞんざいに扱うと会社への不信感を抱きかねません。
社員と円満な関係を築きつつ不採用を伝えるには、以下の2点に気を付けてみてください。
上記2点に気を付けるだけでも、人間関係におけるトラブルが防ぎやすくなります。
紹介者である社員が退職すると、紹介で入社した社員のモチベーション低下が懸念されます。
紹介されて入社した社員は、紹介者と親しい間柄であることが多いためです。
仲の良い人物の退職は、モチベーションの低下につながります。
さらに、退職理由がネガティブな場合は、残った社員に不満が広がらないよう早めのフォローが重要です。
ここまで、社員紹介制度のメリット・デメリットについて説明しましたが、社員紹介制度を効果的に運用するためには、適切な奨励金の設計が重要です。
次に、社員紹介制度における奨励金の目安についてみていきましょう。
社員紹介制度を効果的に運用するには、適切な奨励金の設計が重要です。
奨励金を設定することで社員の紹介意欲が高まり、より多くの候補者と出会う機会を増やせます。
しかし、奨励金の金額は一律ではなく、企業の規模や業種、採用する職種の難易度によって大きく異なるため、自社の状況に合わせて適切な金額や報酬制度を検討しましょう。
Refcomeの調査によると、「知人を紹介してくれた社員へのインセンティブは、どのくらい支給していますか」という質問に対し、3万円~10万円を支給する企業と、10万円以上を支給する企業がそれぞれ約25%でした。
一方で、約35%の企業はインセンティブを設けていない、または0円で運用していることがわかっています。
奨励金の効果を最大化するには、金額だけでなく支給のタイミングも重要です。
支給のタイミング、メリット、注意点を以下の表にまとめました。
支給のタイミング | メリット | 注意点 |
---|---|---|
内定時に支給 | 早い段階で受け取れるため、紹介のモチベーションが向上する | 早期退職のリスクがある |
入社後〇ヵ月後に支給 (例:3ヵ月後・6ヵ月後) | 企業に馴染むまでのサポートを強化できる | 支給までに時間がかかるため紹介のモチベーションが低下する恐れがある |
段階的に支給 (例:入社時50%、試用期間終了後50%) | 短期的な退職リスクを抑えつつ、バランスの取れた運用ができる | 運用の手間が増える可能性がある |
社員紹介制度の奨励金は、単に金額を設定するだけでなく、支給のタイミングや制度の運用方法も含めて最適化することが重要です。
採用戦略にあわせて制度を設計することで、より効果的な運用が可能になります。
しかし社員紹介制度を導入するだけでは、十分な成果を得ることはできません。
成功させるためには、社員が積極的に紹介しやすい環境を整えることが重要です。
社員が「紹介したい」と思える仕組みや文化がなければ、制度を導入しても活用されず、期待した成果につながりません。
では、具体的にどのような工夫が必要なのでしょうか。
ここからは、社員紹介制度を成功させるための3つのポイントを紹介します。
社員紹介制度を成功させるポイントは、以下の3つです。
社員紹介制度を成功させる3つのポイント
これらのポイントを押さえることで、社員紹介制度をより効果的に運用することが可能です。
それぞれのポイントについて詳しくみていきましょう。
社員紹介制度を成功させるためには、社内への周知を徹底することが重要です。
制度が存在していても、社員が詳細を知らなければ活用されず、紹介が思うように増えません。
特に「どのような人を紹介すればいいのか」「紹介の流れはどうなっているのか」といった疑問があると、社員が制度を活用しにくくなります。
そのため、制度の内容を明確に伝え、社員が理解しやすい形で情報を提供することが大切です。
社内告知を徹底し、社員が制度を正しく理解することで、リファラル経由の応募者を安定的に増やすことができます。
効果的な社内告知の例
社内告知を効果的におこなうことで、社員紹介制度の利用率が向上し、より安定的に優秀な人材を確保できるようになります。
社員紹介制度を成功させるためには、社員が自然に紹介できる環境を整えることが重要です。
友人や知人を紹介することに対して心理的なハードルがあると、制度の活用が進みにくくなります。
具体的には、次のような工夫が効果的です。
社員が友人・知人を紹介しやすくなる例
社員が知人を紹介しやすくするには、紹介のハードルを下げる工夫が大切です。
例えば、紹介用テンプレートを用意して、社員が「どのように声をかければいいかわからない」と悩むことが減ると、気軽に紹介しやすくなります。
カジュアル面談の導入も「とりあえず話を聞いてみる」程度の気軽な面談が可能になり、紹介の心理的な負担が軽減されます。
候補者が会社の雰囲気を知る機会として、友人を社内イベントやランチに招待できる仕組みを整えることも有効です。
例えば、freeeの「お弁当制度」のように、社員が友人をランチに招待できる仕組みを導入することで、紹介の機会が広がります。
加えて、リファラル専用の社内チャンネルを設けることで、募集中のポジションや紹介成功事例をリアルタイムで共有でき、社員の紹介意欲を高める効果が期待できます。
社員紹介制度を継続的に活用してもらうためには、紹介者が安心して制度を利用できる環境を整えることが重要です。
安心できる環境がないと「紹介したのに落ちたら気まずい」「不採用になったら友人関係が悪くなるかもしれない」といった心理的なハードルが生まれ、次回以降の紹介が難しくなります。
紹介者に不安を与えないよう配慮することで、社員が意欲的に制度を活用し続けることができ、一度不採用になっても別の候補者を紹介しやすい環境が整います。
紹介者に不利益が及ばないようにする例
事前に「紹介=必ず採用されるわけではない」と伝えることで、紹介者・候補者双方の認識のズレを防ぎ、不採用時のトラブルを避けることが可能です。
不採用となった場合でも「今回は惜しかったが、またぜひ紹介をお願いしたい」などのフィードバックを伝えることで、紹介者の意欲を維持できます。
「紹介してくれたこと自体に価値がある」と評価する文化を根付かせることで、紹介者の貢献が正しく認められ、制度の活用が促進されます。
不採用になった候補者に対しても「また別のポジションがあればご連絡します」と伝えるなど、関係を維持するフォローをおこなうことで、将来的な採用の機会につなげることが可能です。
こうした配慮を徹底することで、社員が安心して紹介できる環境が整い、社員紹介制度の継続的な活用につながります。
社員紹介制度を適切に運用するためには、職業安定法などの法令に抵触しないような対応も必要です。
そこでここからは、社員紹介制度の奨励金が違法とみなされないための注意点に関して紹介します。
社員紹介制度の奨励金が違法とみなされないためのポイントは、次の3つです。
社員紹介制度の奨励金が違法とみなされないための3つの注意点
なお、紹介制度の導入には専門的な知識が必要な場合もあるため、まずは概要をこちらで確認し、社労士に相談しながら手続きを進めることをおすすめします。
社員紹介制度を導入する際は、就業規則や賃金規定に明記しましょう。
社員紹介制度では、奨励金を紹介者(社員)へ渡します。
給料や賃金など社員へ渡す報酬については、就業規則や賃金規定の必須記載事項と定められています。
就業規則や賃金規定に記載するのは、以下のような内容です。
就業規則や賃金規定に記載する内容一例
就業規則や賃金規定の改定後は社員への周知が必要なため、スムーズな制度導入のためにも早めの準備を心がけましょう。
紹介制度で社員に渡す奨励金は、賃金または給料として支払う必要があります。
職業安定法第四十条では、紹介による採用について以下のように記されています。
労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第三十六条第二項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。
出典:職業安定法(e-gov法令検索)第四十条
もし賃金または給料以外の扱いで奨励金を渡すと「無許可で有料の職業紹介事業をおこなった」と、違法性を問われる恐れがあります。
奨励金は給与所得として扱われ、企業には源泉徴収義務が発生するため、給与処理の適切な管理が重要です。
紹介制度の奨励金は高額すぎず、適正な価格にしなければなりません。
奨励金が高額になりすぎると、社員が職業紹介を目的に紹介制度を利用しているとみなされ、法的リスクが発生する恐れがあります。
無許可で職業紹介事業をおこなったと判断され、会社と社員の双方が違法性を問われる場合もあるため、奨励金の金額については、社労士に相談するのがおすすめです。
応募者のスキルや経験に応じて奨励金の額を変えるケースもあるため、社労士に相談しながら検討してみてください。
ここまでは、社員紹介制度について紹介しました。
社員紹介制度の奨励金としておすすめするのが、手軽に贈れるデジタルギフトです。
なかでも「デジコ」は、その利便性と豊富な選択肢が魅力です。
ここからは、デジコの特徴に関して詳しくご紹介します。
社員紹介制度で奨励金を渡すなら、法人向けのデジタルギフトがおすすめです。
デジタルギフトとは、URLをメールやSNSで送付するだけで贈ることができるギフトです。
デジタルギフトを導入する際は、企業のニーズにあわせた柔軟なサポートがある法人向けのデジタルギフトサービスがおすすめです。
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今回は社員紹介制度のメリット・デメリットや、注意点などについてお伝えしました。
紹介制度は、会社のことをよく知る社員が紹介するからこそ、会社が求める人物像とマッチしやすくなります。
求人広告費や人材紹介会社への手数料など、人事採用にかかる費用の削減にもつながるので、安定した人材確保に社員紹介制度を役立てましょう。
せっかく導入するのであれば、担当者の負担を増やさないためにも、運用コストが低い仕組みを整えることも重要です。
奨励金の種類や受け取り方法を工夫することで、社員のモチベーションを高めやすくなります。
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